10 DAYS ACT 5.0

柳田国男が山間の村の伝承から紡ぎだした遠野物語。その舞台に僕は居る。
民俗学、そして遠野物語の一ファンとしてこれ程嬉しいことは無い。


まぁ僕自身の民俗学に対する興味の源流にあるのは朝霧の巫女なんですけどね。
俺キモキッショイ。



7:00 遠野YHを出発。さあ俺遠野物語の始まりです。


 
最初に訪れたのはカッパ狛犬のある常堅寺。かつて参道に祀られていた狛犬が画像のもの。
阿吽双方とも頭の部分にくぼみ(お皿?)があります。


 
お寺の裏に回りカッパ淵に出る。
朝の早い時間だったから幼少の砌に河童を見たというおじさんにお会いすることは出来ず。
自分以外誰もいないカッパ淵。う〜ん、一匹や二匹くらいいてもおかしくないよこの淵。


 

デンデラ
60歳になった老人を捨てた野で老人達は日中は里に下りて農作業を手伝い、
わずかな食料を得て野の小屋に帰り、寄り添うように暮らしながら
生命の果てるのを静かに待ったと伝えられています。

本当に普通の野原。その中に一本「でんでら野」と書かれた棒が立っている。
なのに何だかとても切なくなるのは何故?右の画像はデンデラ野付近の橋のレリーフ
しょんぼりしつつ次の巡礼地へ。


ダンノハナ
村の全景が見わたせるこの丘は、山口館の一部で、死者の回向の地とも、
館時代の処刑場とも言われています。

あー。妙に霊験あらたかな気持ちになり写真をとるのはやめにしました。
画像はダンノハナから見た遠野の景色。



この辺の見学スポット付近には熊が出没するらしくこのような看板が至る所に。
鳴り響け!僕のチキンハート!という感じで携帯の着メロを爆音で鳴らしながら巡礼。
魂のルフラン」が高らかに響くダンノハナ。今では反省しています。



続いて遠野市山崎地区にあるコンセイサマを祀ったお社に。

山崎コンセイサマ
遠野地方には、民間信仰として多くのコンセイサマが祀られています。
なかでもこの山崎のコンセイサマは巨大な自然石で、高さ1m25cm、
周囲は最大1m90cmもあるまさに逸物です。

コンセイサマは漢字で「金勢様」と書きます。つまりはおちんちんランド開園です!わぁい!


お社の中に安置されているコンセイサマのご尊顔を拝し、周囲を散策。男根岩と女陰石に一礼。



わぁい



orz


ここでも私のチキンハートは唸りを上げ、かき鳴らす着メロは「えがおのてんさい」
本当にごめんなさい。


 
市の中心方向へと戻り、伝承園を見学。
南部曲がり家などが移築され、かつての遠野の農家の暮らしぶりが再現されています。
また予約をすれば囲炉裏端でおばあちゃんの昔話を聞きことが出来たりします。
茅葺屋根の匂い、ほの暗い室内、ひんやりとした板張りの床。加速していく郷愁の念。


 
渡り廊下を通り、千体のオシラサマが安置されている部屋に。
オシラサマ伝承について語れるほど勉強をしているわけではないので各自ぐぐってみて下さい。


敷地内に遠野物語の語り手であった佐々木喜善氏の碑が残されていたのでここに記す。

広い日本の中には 実際どんなに珍らしい宝玉が 
どんなに多く土の中に埋没されて居るか
其れを掘り起こさねばならぬと 思ひます  佐々木喜善


加速し始めた郷愁の念は止まることを知らず。
滞在時間を延長して遠野ふるさと村へ行ってみんとす。

遠野ふるさと村
広大な敷地内に曲がり家などの建物をはじめ遠野物語の世界がそのまま移築されている。
伝承園とかぶる場所も多いけど個人的にはこちらの方がオススメです。のんびり回れるし。
案内役であるまぶりっと(「まぶる」遠野弁で守るの意)衆のおばあちゃんと縁側で話し込んで
癒されてきました。


 
オシラサマの祀られている奥座敷から庭を望む。
素晴らしきかな日本建築。障子越しの光の優しさと言ったらもう!僕この家の子になる!


曲がり家の囲炉裏端に座っておばあちゃんの昔話を聞きました。河童とオシラサマの話。
口語文学の素晴らしさと遠野弁の柔らかさを堪能。最高。α波出まくりの脳内。


 
遠野の人たちのおにんにんに対する愛情の深さに、私は感動の涙を禁じえません。わぁい。
この地――遠野におちんちんランドは確かに在ったのだ。わぁい。



熊の出そうな林道を2速で必死に登り、遠野が一望できる高清水展望台に立つ。
遠野の語源となったのはトオ・ノップ(アイヌ語で「山のある湖」の意)という言葉。
太古の遠野は一面湖であり、この湖水が流れ出して遠野盆地が形成されたそうな。
春の田植えの時期は盆地に広がる田園に水が蓄えられ、かつての湖の姿を偲ぶことが出来る。
秋の稲刈り時期には稲穂が揺れる黄金の湖が見られるそうです。その頃にまた来たいなぁ。


上で紹介したほかにもサムトの婆や続石などに行きましたが、一日じゃ時間が足りない。
できることなら数日から1週間くらいは逗留してぼんやりしたい場所。それが遠野。
いつの日かまたこの地で、あの頃に出会いたいと私は思うのです。ありがとう遠野。


 
岩手県内をひたすら北上。気温はこの旅最高の35℃を記録。
思うように距離が伸びない。2㍑のペットボトルの水をがぶ飲みしながら巡航。
市内で豪雨に襲われたり。稲光から音が1秒かからない恐怖。バス停に逃げ込んでやり過ごす。


 
雨上がりのR4を北上する。西の空に沈んでゆく太陽を見ながら今日中の青森入りを目指す。
夕日を反射して光る飛行機雲。脳内で流れ出す鳥の歌。僕は鍵厨なのかもしれない。



青森入りは20:30。更に10kmほど走った道の駅でビバーク。本日の行程終了。
お疲れ俺。明日には北海道入り出来そうだぞ俺。


■本日の結果
7618.7km→7821.8km 移動距離 203.1km 消費燃料 4.12㍑ 燃費49.29km/㍑